Ｈさん夫妻はお子さん二人と近くのマンションに住んでおられました。お母様と同居することになって、それまでお母様が一人で住んでおられた家を二世帯住宅に建て替えることになりました。設計にあたっての要望は、ご主人の仕事場であるアトリエと二台分の駐車スペースを確保する、そしてお母様が今も現役で仕事をしていらっしゃることもあって、お互いの生活ぺ-スが守れるよう住み分けられる構成にすることでした。
　敷地は北側と西側の二つの道路に面した二八坪の土地、周りは密集した住宅地です。道路斜線や高さ制限の厳しい地域で、事務所併用の二世帯住宅となるため、いかに床面積を確保するかが最大のポイントとなりました。幸い二つの道路はかなりの高低差があるため、これを生かして北側の低い道路に面して車庫とアトリエを配し、住宅用の玄関は高い道路に面して設けることにし、ここを一階としています。外観は、アールの屋根形状のように、斜線制限など建築規制によってカットされる部分を逆にデザインに生かし、数種類の外装材を使って変化のあるものにしています。円筒形の部分は地階から二階に通じるらせんの階段室ですが、上下階のプライバシーを確保するために独立性を高めたプランです。同時に、外観デザインのアクセントにもなっています。この個性的な外観は、ご近所でもひときわ目をひいているようです。